2018-10-19

観光協会として培ってきた信頼関係を映画支援に活かす
地域でロケを支援する「人」インタビュー~美浜編~

話す人たち

  • 愛知県美浜町フィルムコミッション
    (愛知県美浜町観光協会)
    伴 友貴恵さん
  • 愛知県美浜町フィルムコミッション
    (愛知県美浜町観光協会 事務局次長)
    深谷 聡さん

愛知のデートスポットといえば、「南知多ビーチランド」や「野間灯台」「恋の水神社」などを擁する美浜町が有名です。そんな観光地・美浜に映画がやってきた!ということで街をあげての大騒動→失敗を経験→でも映画は面白い→からの、「愛知県美浜町フィルムコミッション」が誕生!はじめて映画支援に関わることになった美浜町観光協会で、設立を支える伴さん・深谷さんにお話しを伺いました。

「もっとできたはず」の思いが設立につながった

―「愛知県美浜町フィルムコミッション」設立、おめでとうございます。立ち上げのきっかけは何だったのでしょうか。

伴さん: 昨年、美浜町を舞台に撮影された映画「世界でいちばん長い写真」に美浜町観光協会が関わったことがきっかけでした。当時の担当者によると、長期となる撮影の支援は初めてのことで、弁当や宿の手配など、刻々と変化する撮影予定に合わせていくのが難しく、いつもバタバタ、ハラハラしていたそうです。

その時に、もっと現場サイドの意向に沿うような、よりよい仲介ができたのではないか、という反省があって、美浜町観光協会内に「愛知県美浜町フィルムコミッション」を立ち上げて、映画支援に特化したルール・仕組み作りをしていこうということになりました。

―具体的にはどのような反省点がありましたか?

深谷さん: 例えば、撮影場所の近くの控室などを用意するにも、観光協会だから、会員さんの宿を紹介できる。弁当に関しても会員さんの料理屋はいくらでもあります。ただ、その手配自体は簡単なことですが、映画制作の現場を知らないばかりに、衣裳部屋や休憩部屋があったほうがいいとか、そういう細かなことがわからなかったわけです。

弁当にしても、好みに合わせて選べるように何種類か用意したほうがいいとか、朝早い撮影に対応できるようにするとか。
そういった反省点から、まずは会員さんや地域の方々との体制作りからスタートしました。各地区の区長さんまで巻き込んで、町全体で協力体制を作っているところです。

―映画の協力をお願いした時の町の方々の反応はいかがでしたか?

伴さん: みなさんも大変乗り気ですよ!それはやはり「世界でいちばん長い写真」の体験があったからだと思います。住んでいる場所が映画の舞台になるというのは、町の方々にとっても誇らしい出来事ですから。みなさん、少しでも関われたらうれしいと言ってくださるんですよ。

美浜との縁をもっと深くしていきたい

―実際の映画撮影では、映画関係者たちはどのように過ごされていましたか?美浜に対してどのような印象があったと思いますか。

深谷さん: 我々としては反省の多い出来事でしたが、実際の現場はとても和やかでしたね。監督は毎晩、「なみ平」という居酒屋に通っていました(笑)。「美浜は海鮮が美味しい!」と喜んでいただけて、とてもうれしかったです。地元の方々の温かさにも触れ、ますます美浜を好きになっていただけたことと思います。

―それはうれしいですね。フィルムコミッションとして、ロケーションマップも独自で作られて、少しでも映画を支援したいという気持ちが伝わってきます。

伴さん: そうなんですよ!これが意外に好評で、欲しい、置きたいと言われることが多くて。特に地元の方の反響がすごいです。

深谷さん: 作品中に登場する「リサイクルショップ竹中の車」は実は、美浜町観光協会の車。準主役!?というほど登場していますが、ロケ地巡りをした方には、これもチェックしてほしいですね。映画を観た方には「あっあの車!」と言っていただける人気の車ですが、“武田梨奈ちゃんが乗ったんだナァ~”とにやけながら運転しているという我々の夢の車でもあります(笑)。

伴さん: それから作品で使われた自転車(これは高杉真宙君が実際に乗ったものですが)を誰でも利用できるようにレンタサイクルにするなど、映画を観て美浜町に足を運んでいただいた方々に、さらに楽しんでいただけるような工夫もしています。撮影時だけでなく、その後の応援も継続していくというのがフィルムコミッションとしての支援の形ではないかと考えています。

―観光協会としては、ロケ地支援もお手の物じゃないですか?

伴さん: いえいえ。観光協会としては観光地に対しての地域は豊富なんですけど、映画に必要なのは何の変哲もないような日常の場所であったりするので、もっとロケ候補地の開拓が必要だなと感じています。制作会社さんにはもっと「こうしてほしい!」と言ってほしいし、言われるようになりたいから、私たちにしか提案できないような、とっておきの場所をいっぱい持ちたいですね。聞かれたらすぐに出せるように、コツコツと資料作りも頑張っています!

―美浜ならでは、というおすすめの場所を教えてください!

伴さん: やはり海に囲まれていますから、海岸ですね。賑わいのある海水浴場もあれば、寂しい雰囲気のある海もあるんですよ。また、朝陽も夕陽も見られるから、いろいろな光の表情を表現できるというのも売りではないでしょうか。潮風を受けるので野間に黒壁の道が残っていたり…美浜には海街だからこそ生まれる情緒がありますよ。

―なるほど。作品によっては美浜だけではカバーできないこともあるんじゃないですか?

深谷さん: そういう場合も大丈夫です。観光協会として「知多半島観光圏協議会」に所属していますから、各市町村との連携も昔から持っている。すべて美浜だけで対応できない場合にもオール知多半島として全域をカバーすることができるんです。こういう情報共有できる体制があるのも強みのひとつですね。

頼られるフィルムコミッションになりたい

―フィルムコミッションとして、目指すこと、心がけていることは何ですか。

伴さん: スタートしてまだ日は浅いですが、私たちは制作の方に、円滑に撮影を進めていただけるよう地元一丸となって全力で支援していきたいと思っています。スタッフの方々が気持ちよく撮影ができるというのは、やはり映画にも反映されてくるんじゃないかと思いますので…。地元ならではの温かいおもてなしができたらうれしいですね。

―これからも映画で美浜の素敵な場所が見られることを楽しみにしています。
伴さん、深谷さん、ありがとうございました!

「世界でいちばん長い写真」を見て見慣れた美浜の風景が「こういう風に映るんだ」と感動した、という伴さん。ついついロケハン目線で見てしまう美浜は、今まで以上に素敵だと感じると言います。おふたりを中心に奔走する愛知県美浜町フィルムコミッションは、映画と地元をつなぐ大切な橋渡し役として、重要な拠点となるはず。これからのご活躍を期待しています!

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