2015-07-16

人と人が付き合い、つくりあげていくもの。
愛知県フィルムコミッション座談会

話す人

  • ほの国東三河ロケ応援団
    鈴木 恵子さん
  • なごや・ロケーション・ナビ
    三宅 友里さん
  • 日本ラインフィルムコミッション
    犬山ロケサービスチーム
    左高 永子さん
  • とよたフィルムコミッション
    松本 理沙さん
  • 愛知県フィルムコミッション協議会
    鈴木 麻友美さん

ロケ地の紹介や調整、撮影支援、エキストラの手配など、愛知県の各地域でドラマ・映画づくりを支えているフィルムコミッション。
その担当者の方々に、この仕事への思い、大切にしていることなどをお聞きしました。

地元の人々にも、映画づくりを楽しんでもらいたい

ーよろしくお願いします。経歴やキャリアはバラバラですが、みなさん女性という。

鈴木恵さん: ええ。驚きました。今日、初対面の方もいましたけれど、すっかり意気投合。

一 同: (笑)

ーなんだか、華やかで和やかな感じがいいですね。みなさんが、フィルムコミッション(以下FC)の仕事をしていて、うれしいことはなんですか?

鈴木恵さん: 連続ドラマ「ルーズベルトゲーム」のロケが豊橋で行なわれたときは、多いときはエキストラとして5000人もの市民が参加してくれて、街をあげて盛り上げてくれました。その楽しそうな姿を見て、ロケを誘致できてよかったなと感じましたね。

三宅さん: わたしは、映画「ビリギャル」で名古屋の風景を堂々と映し出せたこと!地元が舞台の作品だったので、ロケ地となった商店街の方々にも「記念になりました」と喜んでもらえたし、わたし自身、試写会で号泣しちゃいました。(笑)

松本さん: 映画「MOZU」の撮影前に、制作チームとロケ候補地を巡ったとき、街の人々がみんなウェルカムな感じでうれしかった。「なにかあったらいつでも声かけてね」と言ってくれたり。こんなに温かい触れ合いができるって、役所の中にいるだけではわからなかったですね。

鈴木恵さん: エキストラもリピーターが多いんです。最初は、「俳優さんが見たい」というきっかっけでも、だんだん意識が高まってくる…。

三宅さん: そうそう!「地元のために」っていう言葉を聞くと感動します。

鈴木麻さん: 一度、愛知県庁での撮影の際、エキストラが足りなくて、急遽のお願いにも関わらず、70名ほど協力してくれたことがありました。エキストラ協力をお願いする中で、愛知県庁がロケ地として使われていることは知られていないんだと実感。もっと広報に力を入れていきたいと思いましたね。

ー大変だったことはありますか?

松本さん: エキストラと言えば、雨で撮影日がズレて人数が足りなくなっちゃったことが。外国人が必要だったので、豊田市内のインド料理店に電話をかけまくったりして。

一 同: (笑)

松本さん: 結局、わたしだけではなんともならなかったので、愛知県の鈴木さんの人脈にお世話になりました。

鈴木麻さん: そういうとき、横の連携って心強いですよね。FCどうしの日頃からのコミュニケーションが大切だと思います。

左高さん: わたしは大変というか、悔しかったこと。 犬山市は名所旧跡が多いので、あらかじめロケ地が決まってからの連絡がほとんどなんです。でも、たまに「こういうとこありませんか?」と相談の電話が入ると燃える。(笑) そのときも、「古い神社」の問合せがあって、一生懸命調べて「ここだ!」というところにロケハンに来てもらったのですが、見た瞬間「あ、ちょっと小さいですね」と…。探すプロセスが楽しかっただけに、すごく悔しくて。その後、ロケ地に決定した他県の神社を見に行って、納得できたんですけど。

三宅さん: すごい!現場に行ったんですね。でも悔しいと感じることはFCとして大切なこと。絶対、次のいい提案につながると思うんです。

左高さん: はい。名所だけでなく、まだ知られていない場所も発掘してアピールしたい。そのために、今はいろいろなところに足を運んで、勉強しています。

「支える」というより、「共につくる」。そんな気持ちです。

ーFCの仕事をする上で、心がけていることはありますか?

鈴木恵さん: 制作チームの要望にNOと言わないこと。できる限り、100%応えたいと思っています。だから、リピート率も高いですね。次回作の撮影に入る前に「またお願いしたい」と連絡が入るとうれしい。

松本さん: わたしも、「無理です」とは簡単に言わないように心がけています。

三宅さん: 制作チームの苦労を理解して、少しでもやりやすいようにお手伝いしたいという気持ちは強いです。

鈴木麻さん: たしかに!早朝から夜遅くまで一緒に過ごして、ときには大雨でずぶ濡れになったり、寒さに震えたり。そんな中で、気持ちよく撮影を進めてもらうにはどうしたらいいか、どうしたら地域のためになるのかを、考えながら仕事をしていかなければいけないと思っています。少しでも、地域に役立てた、また、制作チームの一員になれたと感じられると、それまでの苦労が吹き飛びます(笑)

三宅さん: 無理なこと頼まれたり(笑)、大変なこともたくさんあるけど、作品が完成して、エンドロールを見るたびに達成感を味わえます。あぁ、こんなに多くの人々が、ひとつのものをつくりあげているんだなって。

鈴木恵さん: 結局、ドラマや映画って「人」でできている。その一員になれることが、FCの誇りでもありますよね。

FC同士が連携して、ひとつになれる。チームワークならきっと負けない。

ーこれからの目標を教えてください。

左高さん: FCの活動をもっと知ってもらえるように、市民の方々が楽しめるようなロケ誘致をしていきたいです。

鈴木恵さん: そうですね。FCだけじゃなく、街の人々みんなで撮影をサポートできるような「おもてなしの心」を育んでいけたらいいですね。「ロケの街 豊橋」をアピールしていきたい。

松本さん: 地元で撮影していることを誇りに思って、地元を好きになってくれたらうれしいですよね。制作側と地域をつなぐのがFCの大切な役割だと思うので。

三宅さん: いつか「オール愛知ロケ」のご当地映画がつくれたらいいですよね!FCどうしが協力して、各地域の魅力が出せるような。

左高さん: うん。それで見た人が「愛知っておもしろそう」って、県外からロケ地を訪れてくれたら最高ですね。

鈴木恵さん: 全員女性だし、チームワークでは負けない自信があります。(笑)愛知県全体で協力しあってロケ地を探していける強みがありますよね。きっと実現できるはず!

鈴木麻さん: FC同士が情報交換したり、ネットワークがつくれるような場を増やしていきたいですね。他の地域にも声をかけて、どんどん輪を広げて楽しくやっていきたい。ロケするなら愛知県といわれることをめざしましょう!

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