2016-03-18

観る・出るだけじゃない、
エキストラから見えるもの

ボランティアエキストラインタビュー

話す人たち


  • 石川 愛弓さん

  • 鬼頭 恭平さん

ロケ撮影で必要な存在のボランティアエキストラ。
愛知県内にとどまらず、たくさんのドラマ・映画づくりにエキストラとして参加されているお二人に、参加する楽しみや、映像制作に関わる思いをお聞きしました。

自分を変えるきっかけになる。

―今日はよろしくお願いします。さっそくですが、お二人が映像エキストラに参加するきっかけを教えてください。

石川さん: 私は高校生時代に雑誌掲載されていた広告を見つけて応募したのが最初です。英会話スクールのCMでスクール生の役でした。こどもの頃からテレビが大好きで、その世界に入ってみたいという気持ちがありましたし、高校に進学するのをきっかけに「なにか自分を変えたい。」って気持ちがあったのだと思います。そういったものが一気にはじけたんですね。いわゆる「高校デビュー」です。(笑)

鬼頭さん: 私は学生時代の就職活動で、履歴書の趣味欄に「映画鑑賞」と書きたかったのがきっかけです。どうせならスクリーンで観ようと思って映画館へ通い始めました。そのうちにエンドロールに、「撮影協力 ●●市のみなさん」という記載を見つけ、映画は参加できるものなのだというのを知りました。もともと芸能人にも興味がありましたし(笑)ボランティアエキストラに登録することにしました。

いつもと違う1日になる。

―お二人とも学生時代がきっかけのようですが、エキストラとして参加してよかったこと・楽しいことを教えてください。

石川さん: やはり俳優さんや撮影を見ることができるのが嬉しいです。もちろん映像に出ることも楽しいですが、好きな俳優さんを見ることができると「特別な日」になります。そういえば、エキストラでの参加ではないですが、先日実家をCMのロケ場所として使ってもらいました。そこで感じたのは、自分の思い入れのある場所が撮影に使われることによって、作品自体をとても身近に感じることができるということですね。

鬼頭さん: 私は作品の中で自分を見つけることが一番嬉しいです。他にも、撮影中は「非日常」体験ができるとことが、エキストラの醍醐味です。軽い「職業体験」というか。例えばジュラルミンの盾なんて、普通じゃ絶対に持つことできないですからね。(笑)

石川さん: でも実は機動隊の役は、エキストラの中では人気がないと聞きましたよ。

鬼頭さん: そうなんですよ!機動隊役は同じ格好のエキストラが沢山ですし、盾で顔が隠れてしまったりと、画面を見ても自分がどれかわからないという。(笑)そうそう、機動隊の盾が、劇中の設定地域によって何種類か用意されていることがありました。細部にこだわって、作品が作られていることに感動しました。

―(笑)お二人とも話題がつきませんが、エキストラの楽しみ方ってありますか?

鬼頭さん: 私の場合は、映画に参加したら、次は連続ドラマに参加してみようとか、ロケ弁だけじゃなく、ケータリングも食べてみたいなとか、スタンプラリーのスタンプを集めるような感じで色々な現場に参加しています。

石川さん: そうですね。100回現場があれば、100通りというように、毎回が違うので、それを楽しませてもらっています。ガチャガチャみたいなものです(笑)色々な楽しみ方ができると思いますよ。

ロケ地としての将来性、「仲間意識」で受入れ体制。

―ところで全国各地でエキストラに参加しているお二人ですが、お二人から見て愛知県での撮影現場はいかがですか?

石川さん: 場所という点では、名古屋市の官庁街は多く撮影に使われるだけあって、条件がよく大規模な撮影ができる良い場所だと思います。

―プロのような視点です。(笑)

石川さん: あとはここにしかないディープな場所を発掘できると良いかもしれませんね。
名古屋市伏見の地下街※1や、桜山にあるボンボンセンター※2はかなり特別な雰囲気があります。ただ、ボンボンセンターは手前のお店が最近閉店してしまったので、今後、まちなみが変わってしまうかもしれません。あの場所が残っていたら、撮影できたのに!という場所がなくなってしまうのは、エキストラとして参加する者にとっても残念です。雰囲気がある古くていい街を残すためにも、ぜひ映像作品の撮影を誘致することで、ロケ地の保存をしていってほしいと思います。

鬼頭さん: 人という点では、エキストラボランティア同士の「仲間意識」が高いかもしれませんね。県外でもエキストラで参加させてもらっているのですが、愛知県は一番「ぼっち感」がないかもしれません。

石川さん: ああ!確かに!

鬼頭さん: 初めて参加する方に、声をかけてくれますね。「これは待ち時間が長くなりそうだから、寝ていても大丈夫だよ」とか(笑)他の地域の撮影現場と比較すると、エキストラが自立している気がします。

参加からはじまる地元貢献。

―そんなボランティアにたくさん参加しているお二人ですが、エキストラボランティアに興味をもっている方にひとことどうぞ。

石川さん: エキストラは、ただ自分が楽しいだけじゃなく、地域活性に繋がっていることを知ってもらえるとうれしいですね。 毎回、俳優や芸能人に会えるわけではないですから。むしろ会えないことも多い(笑)それよりも、地元を好きになるきっかけになる、という面が非常に強い。それなら参加してみようかなという人もいるかもしれません。参加のきっかけは何でもよいと思います。

鬼頭さん: まずは興味があったら参加してみることではないでしょうか。ちょっと今までと違うものの見方ができるのではないかと思います。エキストラ同士のいわゆる「横のつながり」も多いですし、心配せずにとにかく参加してみてください。

―お2人ともありがとうございました。

※この後も撮影現場での話題は尽きませんでした。

※1 名古屋市内で最も古い地下街の一つ。1957年に開業し、開業当時の雰囲気を色濃く残している。
※2 伊勢湾台風の翌年に出来たといわれる名古屋市内の古い店が並ぶ横丁。

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